home
 
日本化学連合設立趣意書

日本化学連合:JUCST
Japan Union of Chemical Science and Technology

 日本化学連合は、現存する多数の化学系学協会が積極的に協力・連携して、化学及び化学技術の新しいビジョンを構築し、また化学者コミュニティーの発言力増強を図ることを目標とします。

 グローバル化が進み地球的な課題への認識が深まるとともに、化学に関連する科学・技術に対して、単なる新物質の基礎・応用研究や技術開発を超えた寄与が期待されるようになってきました。あらゆる物質・エネルギー循環に責任のある発言ができるのは化学者および化学技術者であります。したがって、日本社会の啓発、世界的な課題への正しい取り組み方の提言、などの役割の果たせる化学・化学技術者の強力な集団の存在が必要であります。このための組織をどう構築するか、真剣に考慮すべき時ではないでしょうか。わが国では化学会が1878年に創設されて以来、学術および化学産業の発展に応じて、新しい学協会の誕生や改組・統合が行われてきて、研究発表・意見交換の場の整備がおこなわれてきました。われわれは、学協会が主として研究者のメリットのために存在したこれまでの時代に代わって、これからは「社会のための科学」(“Science for Society”、国際科学会議、1999)という新しい使命をあわせ持った研究者・技術者組織が求められているという認識をもつに至っております。

 そのためにまずは、既設の化学系学協会が、それぞれの独自性を活かしつつ、積極的に協力・連携して、より高い水準の対外発信ができる体制をつくることが必要であります。国際的活動にも、わが国の化学者コミュニティを代表する連合組織の存在は不可欠です。また、新制度下の日本学術会議(IUPACへの窓口の役割を担っている)との密接な協調が必要です。副次的ですが、連携・連合により学協会間で効率的にリソースを共有することが可能になると考えられます。国際的に日本を代表できる連合組織とすることを目指して、そのためのあるべき姿を探求していく覚悟であります。

 以上の趣旨にもとづき、新しい化学系学協会の連合体創設のための準備委員会(化学連合創設準備委員会)を組織し、22の学協会の代表者と一年余り活発な議論を行ってまいりました。ここに、16学協会の賛同を得て、日本化学連合を発足させることが6月8日の第1回理事会で承認されました。引き続き、周辺領域に対して化学並びに化学技術者の集まりの壁が高くなって交流・協調が困難となることのないよう留意しつつ、他の化学系学協会にも呼びかけを行っていきたいと考えます。